海までの距離

友人達の円陣に駆け寄る。
彼女達の本名なんて知らないけれど、2年程前から一緒に新潟市内のライブハウスを巡る仲間。
元々2人が友達で、去年瑪瑙(メノー)のライブで整理番号が近かったということで仲良くなった。
新潟でビジュアル系のライブがある時は、ライブハウスに行けば大概知り合いや友人がいた。
私達の関係なんて、個々で名乗るライブネームさえ有れば、それでいい。
私は本名を名乗っているけどね。自分の名前が好きだから。


「遅かったね。学校帰り?」

「はい!掃除当番でした」

「あはは!」


円陣に交ぜて貰い、私はレナさんの腰を下ろす。
有磨さんとレナさんは、私より1つ年上の19歳。
背が高くてユニセクシャルな美人の有磨さんは市内の短大に通っていて、金髪を綺麗に巻いた小柄なレナさんはコンビニでバイトをしているフリーター。
私の仲間は、皆私より年上のお姉さんだ。
Lilyが大好きな要(かなめ)さんに、要さんの相方・白乃(しらの)さん。最近仲間に加わった京(みやこ)さん。
京さんの相方の、暁葉(あきは)さんがいない。


「暁葉さんは来ないんですか?」


京さんに問い掛ける。