振り返ると、見覚えのある顔。
「…海影さん…!」
緩みかける涙腺。
最後に会ってから3ヶ月も経っていないのに、その姿が恋しくて恋しくて。
雑誌でその顔は何度も見た。
だけど、そこには“ハーメルンの海影”だけがあり、“海影さん”の要素は殆どなかった。
今目の前にいるこの人が、私が焦がれていた海影さんだ。
「俺はこれにしよっと」
私の横で、海影さんがオレンジジュースを棚から抜いた。
そして私の手の中からするっとお茶を取り上げ、すたすたとレジに行ってしまった。
私が急いで財布を出そうとするも、黙って片手でそれを制し、
「あと、マルボロひとつ」
レジの奥の、煙草の棚を指差した。
―ああ、私の知ってる海影さんだ。
オレンジジュースと煙草と優しさで構成されている海影さんだ。
勝手に会計を済ませて、海影さんは売店を出てしまった。
「…海影さん…!」
緩みかける涙腺。
最後に会ってから3ヶ月も経っていないのに、その姿が恋しくて恋しくて。
雑誌でその顔は何度も見た。
だけど、そこには“ハーメルンの海影”だけがあり、“海影さん”の要素は殆どなかった。
今目の前にいるこの人が、私が焦がれていた海影さんだ。
「俺はこれにしよっと」
私の横で、海影さんがオレンジジュースを棚から抜いた。
そして私の手の中からするっとお茶を取り上げ、すたすたとレジに行ってしまった。
私が急いで財布を出そうとするも、黙って片手でそれを制し、
「あと、マルボロひとつ」
レジの奥の、煙草の棚を指差した。
―ああ、私の知ってる海影さんだ。
オレンジジュースと煙草と優しさで構成されている海影さんだ。
勝手に会計を済ませて、海影さんは売店を出てしまった。


