海までの距離

スカルプかなあ、明るい紫色のラメが綺麗。


「それじゃあ、私達も支度してロッカーに荷物預けますかあ!」


白乃さんが、立ち上がって大きく伸びをした。











金曜日がやってきたのはすぐだった。
会場に入る列に一人で並んでいると、


「真耶ちゃーん、お待たせ!」


後ろから自分の名前を呼ぶ声がした。
振り返れば、そこには小走りでこちらに向かう有磨さん。
いつもはデニムやショートパンツにTシャツなんていうラフな服装なのに、今日は胸元が少し開いた黒いワンピースを着ている。
それに、ちょこっとだけ高さがあるヒールとルイヴィトンのミニボストン。
海影のこと、意識してるのかな。


「ごめんね、真面目に授業受けてたばっかりに」


少し息が乱れている有磨さんに、私は「とんでもない」と返す。
寧ろ、真面目に授業を受けていて偉いと思う。


「有磨さん、今日はいつもと雰囲気違いますね」

「ワンピースなんて着たの、久しぶりだからなあ。似合わないかな?」

「全然!有磨さんは美人だから!」

「そんなことないってばー」


ケラケラ笑って、私の肩を叩く有磨さん。
でも、有磨さんは美人だから何でも似合うのは事実だ。


「大体、真耶ちゃんだってかわいーい格好してるじゃん」