海までの距離


「私は、海影さんとまたドライブしたいな…」

『うん?』


私の小さな呟きは、海影さんには聞き取れなかったようで。
私の声が海影さんに届かないのは嫌だ。


「…新潟で、また海影さんとドライブしたいです」


海影さんは『そう来たかー』と柔らかく笑った。
海影さんに会いたいんだ。
シンプルすぎる感情に、戸惑いがないわけじゃない。
だけど、海影さんは今までずうっと私のそれに応じてくれていた。
そして、今も。


『また、迎えに行くよ』











新潟は晴れていたのに、東京に降り立つと小雨が降っていた。
今日は高速バスでなく、新幹線での上京。
東京駅は池袋駅に負けず劣らずだだっ広くて、辟易する。
それでも幾分池袋駅よりも分かりやすい作りをしているから助かった。
駅で見かける女子高生は皆可愛くて、制服だってお洒落だ。
受験の為とは言え、新潟の高校の制服で上京している自分がちょっと恥ずかしくなる。