海までの距離

今日は書類選考の結果発表日。
結果は学校に届くようになっている。
多分、多分大丈夫だと言い聞かせて今日この日を待っていた。
海影さんが「真耶なら大丈夫」と言ってくれたから。
書類選考を突破したら、来週の土曜日はいよいよ面接が待ち構えている。










職員室を目の前にして、左手のブレスレットを汗ばむ手で握る。
深呼吸をひとつ。
今更結果なんて覆らないのに、「神様!」と心の中で祈りを。
ブレスレットから手を離し、その手で扉をノックする。


「…失礼します」


扉を開けるとすぐ、机に向かっていた松岡がこちらを向いた。
その表情からは、合否が読み取れない。
私は何か厳かな儀式のように、松岡に静かに歩み寄る。


「久住さん、進路指導室に行こうか」

「はい」


松岡は、机の上に準備してあったファイルを手にした。











お母さんより先に、海影さんに電話をしている自分がいた。
4回目のコールが鳴っても耳元から海影さんの声が聞こえてこなくて、そこで私ははっと我に返る。