「ほら、ちゃんと話すんだよ。」 麻奈は私の耳元でそう言うと、 ドンッ!! 「きゃッ……!!」 背中を思いっきり押されて、よろめいた。 ……転ぶッ!! そのとき、 フワッと……、 懐かしくて、愛しい香りに包まれた。 「……大丈夫?」 「ぁ、うん。」 私は慧斗から離れようとするけど、慧斗の腕が私を離してくれない。 「柏原……、」 「慧斗。だろ?」 耳元で、仮面をつけていない声で囁かれた。