「やっぱりやめようよ」
「何言ってるんだよ。自分で行こうって言い出したんじゃないか」
「だって」
「だってじゃない」
 そして僕はこの扉を開ける。これを開けさえしなければ……。いや、どちらにしろ、こうなる運命だったのだろう。
 それは、とてもささいなことから始まった。それは、8月の武道会のこと……。