∇啓サイド
…やはり
さっきぶつかったのは
あいつだったかもしれない.
…夕波栞.
たまたま去年の
都大会に足を運んだとき
ひときわ目立つ
泳ぎをする子がいた.
速いだけでなく
その長い手足を使って
無駄なく
泳いでいる.
いや、俺には
泳ぎを楽しんでいるように
見えた.
…でも、なにかが
足りない気がした.
たぶん彼女は
自分がやりたいから
自分が楽しみたいから
やっているのだと思う.
…だがそれでは
自己満にすぎない.
例えば、
その泳ぎを誰かに
伝えたりはしないのだろうか.
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