ROSE~AI (ノンフィクション

一人の警官が、由美を連れて行ってしまう。


振り返りざま、由美がまた何か呟いた。



「・・・・。」


微笑みながら・・・・


「・・・・?」

でも・・・



アタシには聞こえないよ。


由美?


何が言いたかったの?





もう一人の警官が、哀れんだ目でアタシの前にしゃがみ込む。


「怪我は?どっか痛いとこないか?」


「・・・・・。」


痛い所?


胸が痛いんだけど。


言ったら治してくれるのかなぁ?


あぁ、そうだ。

「耳も・・痛い。」

そう呟き左耳をおさえる。


「耳も?ほかは?」


そう言ってアタシの腕を掴みかけた時。


「愛美・・・」



「・・・・。」


振り返ると、びしょ濡れになった那智が、同じくびしょ濡れになった祐樹を背負っていた。