[完] スマフォン忍者 HISANO

「もぉ、因数分解というものは、まず積から考えるの!!」

 瞳美に向かってそう言って、体勢を元に戻して、瞳美に背を向けるような状態でメールをチェック。

「なんだ、最初からそう言えばいいのに。」

 また瞳美は、シャーペンを走らせる。

 さっきよりはましになった。

 独り言でヘルプを求めなくなった。


――はあ、やっと集中できる!――

 寿乃は一安心。
 と思いきや、

「さっきから、ぎゃあぎゃあうるさいぞ。」

 啓仁登場。

「はるくん、いつの間に。」

 寿乃は少々びっくり。

 突然登場したように見えたから、仕方ない。

 そんな寿乃の思いを無視して、啓仁は瞳美の方へ近づいた。