[完] スマフォン忍者 HISANO

 それでも、くららはうなずかない。
 ほんの少し、首を振った。

 王路の顔色が変わった。

「無理矢理撮ろう。」

 子分たちがそれぞれの携帯や、スマートフォン、デジカメなどでいろいろなカメラでくららの写真を撮る。

 くららももちろん嫌がる。

「やめて、やめて。」

 大声ではないが、でも寿乃の心を突き刺す悲鳴。

「お前、もっとやられたいのか。

 やられたくなかったら、言うことを聞け!」

 っと、王路がくららの悲鳴を、心の奥深くに封じ込めてしまった。


――いやだよ。
   こんな姿、人に見られたくない。――

 大きくぱっちりとしたくららの目から、そんな心の声が聞こえる。

 明るい表情なら、その目は光を放って輝くだろう。

 でも、今は悲しい目だ。