[完] スマフォン忍者 HISANO

 トイレに着き、落ち着いて入る。

 中は誰もいない。入る際に、周りに王路たちの姿はなかった。

 ふぅっと深く息を吐いて安堵したいところだが、それどころではない。

 寿乃はすぐさま、透明のサングラスのようなものを取り出して、かける。

 そして、スマートフォンに透明のカバーをかけた。

 
 なんじゃそりゃ!って思っている間に、左腕を思いっきり伸ばし、親指が動いた。

 赤い光が一秒ほど出て、そのあと白い光に変わった思ったら、光が消えた。

 すると寿乃の体も消えたぁ!?


 消えたのではなく、透明になって、周りの景色と一体化している。

 寿乃が体を動かさないと分からないぐらい。

 これこそが現代版忍法壁隠れの術。

 昔のように布で隠れるのではない。
 スマートフォンをビデオのようにして、そこから写し出される映像で自分の身を隠す。

 よほど大きく動かなければ違和感感じることなく、周りの景色と同化できる。

 しかし、これは見た目を隠すだけ。

 よく小説とかで見る、人が通っても何も感じないなんてない。

 ようは、透明になっても生身の人間のままである。