[完] スマフォン忍者 HISANO

 寿乃が自習室にきて三十分。

 適当に鉛筆動かすのも飽きたし、スマートフォン見るのも飽きた。

 
――あっ、美術の宿題。――

 慌ててカバンの中から、美術の課題の用紙を出す。

 テーマは、教科書をデッサンする。

 いい暇つぶしになり、期限前に慌ててやらなくて済むという一石二鳥の効果があると思い、数Ⅰの教科書を閉じて、描き始めた。


――ふんふんふんふんふぅ~♪――

 頭の中で、適当な音楽が流れている。

 音楽を流しながら、鉛筆を進める。

 音楽を聴きながら、絵を描く。寿乃はどんどん楽しくなってきた。

 夢中になりすぎて、肝心のスマートフォンを見るっと言う作業を忘れないように心がけつつ、どんどん鉛筆が進む。

 
 っとその時、ふとスマートフォンを見たら――


――あっ、高橋たちと、あれ富川?――


 スマートフォンが映していたもの。
 だれもいない教室で、王路とその子分四人と、富川くららがいる。

 一体、どういうわけでそこにいるか?