[完] スマフォン忍者 HISANO

 呆れているものの、またポットと茶筅と茶碗と抹茶を持ってきている。

 ポットにお湯を注ぎ、抹茶を入れ、茶筅でかき混ぜる。

 豪快すぎてこぼれないかっと思ったら、一滴もこぼしていない。

 のの字を書いて、茶筅を丁寧に置き、茶碗を寿乃に差し出す。

「さぁ、飲みな。」

 寿乃は戸惑っている。

 なぜ、急に茶室に呼び出されたのか。いまだにわからない。

 どうせ、自己満足のためでしょう。人に武仁の自己流茶道で立てた、お茶を飲ませたいんでしょうっと結論付ける。

 肩を落としながら深く息を吐く。
 なんだか、堅苦しい雰囲気を感じる。


「ははぁ、相変わらずだね。
 何かに対しても、冷たい目で見る。
 
 ふっ、まぁね。」

 武仁はにこにこするが、寿乃の顔はあまり良くない。寿乃の目は死んでいるように見える。

 せっかく出されたお茶を飲もうとしない。