[完] スマフォン忍者 HISANO

 六月の空気は、なぜか心をゆがませる。

 毎日のように雨が降り、ただ憂鬱を募らせている。


 寿乃だって例外ではない。

 本家に上がって早三ヶ月になろうとしている。

 いまだに慣れない都会の空気。

 それと、本家の修行。

 朝の棒投げ、未だに一回も当たらなかったことはない。

 朝、昼、夜、憂鬱な時ばかりが過ぎゆく・・・

「ふあぁぁん。」

 ご飯食べて、眠くなる昼休み。

 それでも、クラスの子はぺちゃくちゃおしゃべりに花を咲かせている。
 寿乃はその輪に入ろうとせず、寝ようとしている。

 
――あー、うるさい。うるさすぎて、眠れないなぁ・・・。――

 寝たいのに寝にくい。
 どうしてこんなにうるさいのか。いらいらが募り始めた。


――ここ、女子高だった。――

 そう思っていらいらを解消しようとする。