入学式が終われば、教室まで案内された。

席は出席番号順で、俺は廊下側の前から2番目。


鞄を机の横にかけて、寝る体制に入ろうとしたときだった。


「隣、よろしくね」


見ると…岸本桃嘉。


…同じクラスかよ。



「一年生だったんだね。あたしてっきり上級生かと」

「…」

「ぁ、ねぇ、名前は?」

「…飯田」

「飯田? 飯田、なんていうの?」

「別に…知らなくても損はないと思うけど」

「クラスの人はフルネームで覚えるって決めてるの!!」

「…レン」

「れん? どういう字?」

「…」

俺は説明もめんどくさいので、机に漢字で名前をフルネームで書いた。