「失礼しましたー」 僕は今週週番のため、適当に書いた日誌を適当に提出し、職員室から出た。 教室にカバンを取りに戻る。 ――… 扉を開ける前に、中からする音に気がついた。 いや、声だろうか? 誰かのすすり泣くような、押し殺した声が聞こえた。 『……うっ…っ……』 入りにくい。 けど、カバンを置いて帰る訳にもいかないし…。 別にいいか。 知らない振りでもしておけば。 僕は覚悟を決めて、扉をゆっくり開けた。