「アレクサンドラは――」

ホークが上座でいきなり口を開いた。

「その娘は、田舎育ちで洗練されてはいないが、れっきとした貴族の娘だ。まだ年若いゆえ、そこの見習い従者殿との方が話が合うだろうと思って、貴女の隣に座らせただけだ。本来なら貴女の上座にいる身、侮らぬように」


一瞬、部屋が静まり返った。


「お言葉は嬉しゅうございますが、伯爵様」

母が静かに言った。

「母の私から見ても村の娘の様ですもの、無理もございません」


ホークはフッと笑うと、

「では、魔法修業の他に淑女修業もしなくてはな」

と、言った。


え―――っ! 冗談でしょう!


これ以上、性に合わない修業なんて御免だよ……


「まずは髪結いの上手な小間使いを付けることですわね」

レディ·クリスタルがにこやかに言った。


ええ、どうせ見栄えのしない髪ですよ。