夏が始まる少し前の事だった。 父の転勤の都合でやって来た 小さな田舎町。 都会から離れてもやっぱり暑さは変わらなくて 小さなため息をひとつついて 学校への道を歩いていた。 山の上にある学校まで坂道が続く。 額に浮かぶ汗を拭いて「こりゃ毎日大変だな」なんて思いながらも 男女共学という新しい環境へのドキドキが止まらなかった。