「それじゃ、行こうか」


榛名くんに傘を返すため

一時限目の授業が終わった後、さくらちゃんと一緒に隣りのクラスへと向かう。


「えっと……」


キョロキョロと中を覗いて見るが、榛名くんの姿はない。


「榛名くんは?」

とさくらちゃんが私の代わりに、ドア付近に立っていた男子に声をかけた。


「榛名なら女と一緒にどっかに消えた」


「ふーん、そっか。ありがとう」


さくらちゃんはお礼を言うと、階段の方へと降りて行く。