七月最後の一日。

夏休みも折り返しに入ろうかというのに、丹下 龍太郎(たんげ りゅうたろう)は制服姿で毎日のように天神学園に通っている。

部活の為?

否。

生徒会役員だから?

否。

ではどうして夏休みにもかかわらず、学園に通うのか。

それは彼が馬鹿だから!

「るせぇっ!ムカつくナレーション入れんなっっ!」

地の文にツッコミ入れつつ、汗だくになって龍太郎は歩く。

激怒しても詮無い事だった。

一学期末の期末試験。

彼を待っていたのはオール赤点という目も当てられない大惨事だった。

当然の如く通知表は最低評価のオンパレード。

他の生徒が夏休みに突入して海だ山だと青春を謳歌している頃、龍太郎は貴重な夏休みの前半を費やして、勉学に勤しむ羽目になってしまったのである。