「梓(アズサ)」 俺のネクタイに手をかけていた女が不意に俺の名を呼ぶ 「なんですか先輩?」 少しホコリ臭いこの部屋は今は使われていない理科準備室 こんなことをするための部屋ではないことは重々承知だがせっかく空いているので使わせていただく。 「梓、」 もう一度、女が呟く 「キスして」 「……………、」 俺は何も言わずその唇に自分の唇を重ねた