帽子を取ったら…

 里奈の断末魔の叫び声が辺りに響いた。


 更に!


 バキバキ、ブシャブシャ!


 気持ち悪いぐらい、鈍い音が里奈の叫び声を掻き消す。


 2人の足元の地面は、いつの間にか多量の鮮血で濡れていた。


 傍らにはボロボロの衣類が散乱している。


 双木里奈の姿は、もうどこにもないのだ。


 ヌメリガは何事もなかったように、志穂嬢の頭に戻っていた。


「双木さんがヌメリガに食い殺されてしまった事、輝人には内緒ですよ?」


 部長は近くに落ちていた白のアメリカンハットの帽子を志穂嬢に手渡す。


「大丈夫よ、私は口は固い方だから」


「輝人は完全に私の物になったし」


「もう、誰にも邪魔されないでラブラブ出来るわね?」


「もっちろん」


 志穂嬢は満足気に帽子を被った。


 立ち去る2人。


 この2人と、人面腫妖怪の関係は…


 まーったく、分からないの。




     終わり