「ねぇ、ねぇ、知ってた?? 三嶋先生、彼女いるんだってぇ!!」



「三嶋先生に彼女??」



ひとりの生徒が騒ぎ出すと、あっという間に学校中に広がるってこと。



「嘘~~!! ショック」



それも充分分かってる。



けど、もうそれでもいいんだ。



澤村の声が今でも頭から離れないから。



“お母さんは、その人を好きなんだと思う。だけど、お父さんとは呼びたくない……あたしにとって、お父さんはひとりだけだもん……。家にいても、あたしの居場所がないの”



何もかも捨てて、会いに来てくれた元恋人。



澤村の母親に、彼の想いは痛いほど伝わったんだろう。



だからこそ、彼を受け入れ、彼を含めた新しい生活へと踏み出した母親。