女の子は航太のクラスメートの三浦さん。

なっちゃんのことずっと彼女だと思ってたんだって。


ハーフタイムになって航太がこっちに手を振った。

なっちゃんが手を振り返す。

知らない人が見たら彼女に見える。確かに。


わたし達の前の列に座っていた男の子達が振り返った。


「なんだ夏実がいたのか」


「あれ? 三田?」


「おー、三田さん。久しぶり」


ああ、中学の時の同級生達だ。


「確か、引っ越したんだよね?」


きかれて近況報告。

少し話をしていたら、『志鶴?』って後ろから呼ばれた。


ヤバイ

圭吾さんがいるの忘れてた


「なぁに?」


平静を装い振り向く。


「ちょっと」


圭吾さんがニッコリ笑う。


あ……怒ってるでしょ


「夏実ちゃん、ちょっと志鶴を借りるね」


そう言って圭吾さんは、わたしの手を引っ張って後ろへ連れて行った。