「もう、バカだなぁ〜…」 体の全部が温かい。 私は奏に抱き締められていた。 奏は中腰なのに頭の位置は敵わなくて、 温かいけど体は筋肉がついていて固くて、 やっぱり奏も男なんだ、と、三年間が長く感じられた。 そんなとき、私の右肩にぽたりと雫がひとつ落ちて、じんわりと広がってゆく。 「……奏?」 それは奏の涙だと、彼の体の震えでわかった。