『大丈夫、心配ないから。』 俺にだけ聞こえるように呟かれた声。 通りすぎていくときに見えた横顔は、いつも通りきりっとしていた。 でもその瞳はいつもより陰っていて、 すぐにその顔は強がりなんだときづいた。 何もできないことに、イライラする。 「おい、犬飼、早く席に着け。」 朝折角セットした髪をガシガシとかき回してから、 俺は自分の席に戻った。