「…尋斗くん聞いてる?」

俺は杏奈の言葉にハッとした。

そうだ…。
杏奈が、大事な相談があるんだっけ…。

「あ、悪ぃ…。 聞いてなかった…」

「ちゃんと聞いてよねー!」
少しだけ怒った表情で言う杏奈。
そうゆうとこが 可愛いんだよなー…。

「でね、悠也が、最近ヘンなの!」

悠也は、杏奈の…
いわゆる彼氏だ。

ようするに俺は、彼氏持ちの女を好きになっちゃったっつうこと。

「ヘン…? どーに?」
ただのヘンじゃわかんないから、俺は具体的な内容を聞いた。

「んー なんか、約束しても最近はドタキャンばっかで…」

杏奈の顔が、急に不安そうな顔になる。

「ってことは、前は約束したらドタキャンなんか無かったってこと?」

「うん…。
それに、メールとか電話とかしなくなっちゃったし…」

…じゃあ
そんな男やめろよ。
俺にしろよ。

なんで
そんなことがあっても、その男なんだよ…。

てか、それって完全に浮気されてるだろ。
なんで…
なんでだよ…

なんで
そんな男がいいんだよ…。


「…尋斗…くん…?」