約束【短編】


しょぼしょぼしてきた視界には
先ほどと・・・、いや、10年前と
変わらない綺麗な景色が広がっていた


そして、隣には拓哉がいる

こんな状況で寝てしまうなんて
ものすごくもったいない

でも優しく髪を滑る拓哉の手を
止めてしまうのも嫌で、私は
せめてもの抵抗で目を擦った


すると、またしてもそれに気づいた
拓哉が、私の手首をそっと掴んだ


そのまま顔から離されて、
また拓哉が覗き込んでくる

そして、離された手の代わりに
拓哉の指が私の瞼をそっと撫でた