『実羽』 何を言うわけでもなく、 薄く目を開いた状態で拓哉を 見つめる 何だか反響するようなぼやけた声に 私は改めてこれは夢なのだと実感した 幸せだと感じる半面、現実なら 良かったのに、と そう思わずにはいられなかった そしたら、また拓哉の口が動いた 『実羽』 なに? 今までより声がはっきり聞こえる 『実羽、起きて』