「・・・実羽・・・」

僕はそっと手を伸ばして実羽の
頬を流れる涙を拭った


最後にこうやって触れたのは
こうやって名前を呼んだのは
一体、いつだったけ


「・・・実羽」

彼女の頬に手を添えたまま
呼び掛ける

『拓哉』

・・君は何度も何度も呼んで
くれたのに
僕は全然呼んであげられなかった


「実羽」

君は、ずっとずっと、僕を
見ていてくれたのに

「・・・・・ごめん・・」