約束【短編】


「・・・にしても、用事ってなーに?」

「え?」

「ほら、電話で言ってたじゃん、
 この近くに用事があるからって

 ・・・そんなにオシャレしちゃって」

ぺらぺらと報告書を確認しながら
松本さんは何故か拗ねたような
口調で言う

というかオシャレって、そこまで
着飾ったつもりもないけど

ただワンピースにカーディガンを
着ただけなのに


「ん?そういえば拓哉さんは?」

ふ、と報告書から顔を上げた松本さんは
不思議そうに私を見つめる

内心、ギクリとしながら
私はあくまで笑顔で言った

「拓哉はお留守番です」

「エッ!実羽さん1人で来たの?」

「はい」