約束【短編】


「可愛いなー、着物じゃない実羽さん
 めちゃくちゃレアだよね!
 てな訳で、写真撮らせてくれない?」

「あ、あの、写真はちょっと」

キラキラ目を輝かせた松本さんに
私は慌てて手をぶんぶん振って
後ずさる

そしたら松本さんは本当に
悲しそうに心底残念な顔を
した

「えー・・、可愛いのにー」

「ふふ、お世辞有り難うございます。
 お世辞はそのくらいにして
 報告書です。」

「お世辞じゃないんだけどな・・
 まぁいいや、有り難う実羽さん」

助かったよ、と笑う松本さんに
私も笑みを返す

やっぱり、この人は何だか和む

それだ暗かった胸の中が、松本さんの
笑顔で温かくなった気がした