約束【短編】


「なに?」

「・・・えっ」

「まだ何かあるの?」

はっと現実に戻ると拓哉は
変わらずに背中を向けたまま
私にそう言った

危ないよ、とか
僕も一緒に行く、とか

そんな言葉を期待してた訳じゃない

でも、行き先も聞いてこないって
どうなんだろう

「いいえ、・・何でもありません」

・・・私は何なんだろう

「行ってきます」

「うん」

私は
拓哉の、何なんだろう