約束【短編】


『約束ですよ?』

「---・・・・・・・」

私はその印から目を反らして、
自分の部屋を後にした

そっと居間を覗いてみると
お風呂に入ったと思っていた
拓哉がさっきと同じ服装で
本を読んでいた

・・・あれ、まだ入って無かったのか

「・・・拓哉」

「なに」

やっぱり振り向かないまま
素っ気ない返事だけが返ってくる

たぶん、というか絶対に私が
いつもと違う服装なのにも
気づいていないだろう


「少し、出かけてきます」

「そう」

『こんな時間に?どこ行くの」
『少しお買いものですよ、
 すぐに帰ってきますから』
『夜に君1人で出歩かせれるわけない
 だろう、僕も行くよ」
『そんな、私1人で大丈夫ですよ?』
『大丈夫じゃないから言ってるんだ』