【完】ラブ☆パワー全開




「今日楽しなかったやろ?」

「ふへ?」



今日?

何の話?

頭の中は化粧ポーチの場所や、
デコッパチを隠す方法ばっかりを考えてて全然わからない。



「文化祭」

「あー! 文化祭の話?」

「ぶはっ! 化粧で頭の中いっぱいやった?」



……はい。
すみません。

それ以外、頭にありませんでした。


でもさ。

そんな笑わなくても、いいじゃん。



「で、何で?」



何で……か。

“礼子ちゃん”とは、言えないよなぁ。



「……礼子?」

「え? 何で?」



思わず顔に出た……と思う。

無理矢理笑顔を作ったけど、
仁にはバレてるよね?



「やっぱり。今の顔でもわかったけど、礼子と会ってから様子変やったもん」



そっか。

やっぱりバレてたんだ。



「礼子、何かした?」



首を振った。



「じゃあヤキモチ妬いた?
なーんて……って、えぇ!?」



自分で言ったくせに顔を真っ赤にさせて1番驚いてるのは仁、本人。


あたし、顔に出やすいのかな。

頑張って隠したつもりなのに、
バレばっかりだよ。