「やっぱ無理だって!」

「はぁ!? ここまで来て何言ってんの!」

「絶対無理!」



目的地を目の前にして、
背中を向けるあたしの腕を痛いくらいに引っ張る千恵に涙目で訴える。



今日は、仁の高校の文化祭。



文化祭のチケットを貰った時は飛んで喜んだんだ。

あんまり乗り気じゃない千恵を無理矢理誘ってさ。

朝から千恵を呼び出して準備も万端なんだよ。

そりゃもう可愛くクルクルと巻いてもらった髪が揺れてるんだから。



だって相手は全員、高校生。



23歳のあたしなんて高校生からしたら……オバサンでしょう?

そんな敵地に乗り込むんだから気合は十分!



十分なはずだったんだけど。



目の前を行き交う女子高生の若さに、生足に……言葉遣いに!


既に負けてしまった。

という情けない状況に陥ってます。