山之辺正哉に泣いているところを見られたのはショックだったけど。

何故か、思いっきり泣けたのも事実で。



ってか、何で泣いてたのかも忘れるくらいショッキングで。


「ハア~ァッ……」


つい、大きなため息が漏れた。


「そんな、俺と離れるのが辛いって?」

「あれ? まだいたの?」


「霧子!!」


と、咲が叫ぶも何のその、あいつはわたしを引き寄せると、今度はしっかりと唇を塞ぐキスをした。


「アッチャァ……熱いねぇ~

見てらんないや……」


と呆れた咲が居間に姿を消したのをいいことに、あいつのキスは激しさを増す。

角度を変え、何度も唇を吸われ、気が遠くなる。


――あ……また抵抗しなかったな……


わたしは、こいつで寂しさを紛らわしてる?

弄んでるのは、わたしの方なのかな?



理解できない感情に自己嫌悪する。


それでも……

咲とあいつの近さが、心地良かった。