「やっ、な、なにするの?!」




わたしはあんまり驚いて、思わず大きな声を上げてしまった。


「何って、ありがとうのキス」


そこには、にこやかに笑うあいつの顔があって、ドキッとした。


「コ、コラッ! 山之辺、何してるんだっ! い、いま、霧子に何をしたっ!」


台所から、異常を察して飛び出して来た咲が、あいつに食ってかかった。


「だから言っただろ?

霧子と俺は、人には言えない特別な関係だって」


あくまで冷静なあいつの様子に、何故か咲は、

「もしかして……

付き合ってること、隠してんの?

まぁ、なんとなく事情はわかるけどさぁ~

お前の取り巻き達、煩そうだもんなぁ~」


勝手に理由をつけて、納得してしまった。




――って、付き合ってないって!!!