自信満々にわたしの手首を掴むと、あいつはわたしの身体を柱に押し付けた。




このまま、またこいつにキスされる?

されたいと思うわたしと、なんでまた? と思うわたしが葛藤する。



少しにやけた山之辺の顔が近づいてきた瞬間、わたしの理性が勝った。


<パシッツ>


乾いた音と共に、わたしの左手が力なくあいつの頬を打った。


「ってぇ……」

「だって、また無理やり……

わたしはただ、わたしのファーストキスを奪ったのが何処の誰なのか知りたかっただけ」


「癒してくれんじゃねぇのかよ……」

「えっ?」


そう言って離れたあいつの顔は、さっきとは打って変わって泣きそうに見えたんだ。