「大里先生、少しお時間宜しいですか?」





わたしは山之辺達が立ち去ったあと間髪入れず、職員室に足を踏み入れ、大里先生に歩み寄った。

わたしは美術部部長でもある。

もちろん顧問は、美術担当の大里先生だ。

ある意味気心が知れた仲。

それ以上でも以下でもないけれど。


「ん? なんだ山野?」

「すいませんでした。

わたし良く考えもせずに手元にあったメモをそのまま読み上げてしまって……」


わたしは、先生に向かって頭を下げた。

その向こうで、先生の小さいため息が聞こえた。