「ねぇ、何で男のあんたが結婚に拘るの?」

「そりゃぁ、お前のために決まってる」

「?」

「頭のいいお前が、これから先、どんな職業に就くかなんて愚問だろ?

医者か弁護士か科学者か。

何にしたってキャリアを積んで男と対等に渡り合わなきゃなんねぇ世界だ。

だから、社会に出る前に早く結婚して子供を生んでもらいたい。

霧子には、女として母にもなって貰いたいんだ」

「わたしにはそれができると?」

「霧子ならできるだろ」


――それって決定事項なのかな?


「あたり前だろ」


きっとやつはそう答えるだろうけれど。


山之辺と歩む毎日は、当たり前だけど当たり前じゃない。

一日一日が新鮮で。

やつの言葉に惑わされ、やつのキスに翻弄される。

その根底にあるのは熱い想い。

そしてその根底にあるのは、縁を紡いで明日に繋げる自然体な生き方なんだね。


山之辺は、きっちりかっきり生きてきたわたしの人生に華を添えてくれた人。

人を恋する熱い想いがある限り、たとえ答えが見つからなくても、それでいいんだと思わせてくれる人。


勿論……、

わたしの明晰なる頭脳で、解ける問題はきっちり処理させて貰いますよ。


けど……、

人生何が起こるかわからない、考えたって仕方ない。

だから、やつと一緒に歩いていく。

それだけ決まってれば、ま、良しとしよう。



山野霧子、17歳。

推定IQ190

持てる能力の全てをかけて

ただひたすらに今を生きてく覚悟です。


だって、振り返ればそこにはいつも……

山之辺、Love♪


2012.12.31.

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