でも、わたしだって負けていられない。


「じゃ、こんどはわたしから」


差し出したのは小さな包み。

山之辺が無造作に包装を破った。

出てきた小さな箱には、皮製のキーケース。

そこには既に一本鍵がついていた。


「ママがね、山之辺にも家の鍵を持ってて貰った方がいいんじゃないかって。

キーケースもわたしとお揃いで、ママと一緒に選んだんだよ」


ほら、と鞄から自分のキーケースを出して見せた。

山之辺は黒で表にMのイニシャル、わたしは赤でKのイニシャルが刻印されているシンプルなデザイン。


「サンキュー、大事にする」


なんやかんや言っても、わたし達って、お互いの家庭の事情も知り尽くした親公認の深い仲なんだよね。