「麺ツユの素も底値だったけど買っとくか?」 ――うぅ~ もしかして、この生活感溢れるわたし達の関係がこいつに結婚妄想を起こさせるのか? 「霧子聞いてんのか?」 ――ここで返事したら、こいつの思う壺だ。 わたしはぐっと口を噤んだ。 無言のままレジを済ませたはいいけれど、カゴを山之辺に奪われた。 手馴れた手つきでエコバックに品を詰めていくやつの背中をじっと見つめる。