人間、開き直ると怖いものが無くなるというか。



好き合った者同士が愛を確かめ合うという、行為そのものに興味がなかった訳じゃない。

寧ろ、愛を確かめ合いたいと思える相手に巡り合ったこと自体に、わたし自身が驚いているわけで。

いつかはそういう時がくるのだろうと漠然と考えていたわたしには、いささか急な展開ではあるが。

それが山之辺で良かった、と思う気持ちに嘘偽りはない。


だけど……、

怖いのは事実。

逃げ出したいのも本当。


でも、わたしは逃げない。


だって、経験に勝る学びはないと思うから。

愛だって学び育てていくものでしょ。

経験して初めて知る喜びもあるでしょ。



山野霧子、今から大海に漕ぎ出します!