「なに朝っぱらから難しい顔してんだ。おまけにオスメスって何の話だ?」 咲とわたしの間を割って、山之辺がいきなり現れた。 いつの間に追いついてたのだろう? 「男は本能の生き物だって話」 咲がため息交じりに言い放った。 「もしかして理性をかなぐり捨てていいってこと?」 横に並んだ山之辺が、勢いわたしの肩を抱いた。 不敵に笑うその顔には、昨夜の包み込むような優しさは微塵も見えない。 ――いきなり何なのさっ?!