「おはよう、霧子!」 背中をトンと叩かれて振り向いた。 「あ、咲、おはよう! 昨日はメールありがとう」 「でも、お母さん、たいしたことなくて良かったね。って言っても、心配だよね。 今日も病院でしょ? あれ、山之辺は?」 「あ、山之辺は一度家へ帰るって……」 つい咲の言葉に釣られて口が滑った。 「やっぱ、泊まったんだ」 「やっぱって?」 「だって、昨日、あいつってば血相変えて飛んでったから」 咲が思い出したように笑った。