『婆ちゃんが爺ちゃんに会ったのは、十四のときさね。 二つ上の爺ちゃんは、高等学校の一年生で、そりゃあカッコ良かったさ』 祖母の昔話には、必ずカッコ良い祖父の逸話がついてきた。 確かに、写真の祖父は、面長で切れ長目の爽やか男子だったけど。 坊主頭の人民服で、わたしにはピンとこなかった。 『だから、霧ちゃんも、素敵な恋するんだよ』 って、優しく抱きしめてくれた祖母の、焚き染めた香の匂いが懐かしい。