「おっと」
男は飛んで来た火の玉をよける。
「なめんなよ!」
真は怒鳴った。火の玉がくるりと方向をかえ、男の方にまた飛んで行く。
「何っ!?」
男は驚く。次の瞬間、男は炎に包まれた。
「ぐああぁぁ!!!」
火の勢いは止まらない。

その時だった。

「もうやめろ!!」

佳伊だった。
真の方に駆け寄って、我を失ってる真のほっぺをパチンと叩いた。
その瞬間、炎が消える。

「もういいから……」

佳伊は真を抱きしめる。そして、酷いやけどをおった男の方を向いた。

「殺したな……またお前達か?」

そう言って手を空中にあげた。
すると男が空中に浮かぶ。
佳伊が手をくっと握ると「がぁぁ」と男が苦しむ。首に指のあとがつく。


真はその様子を呆然と見ていたが、佳伊の表情をみて凍り付く。
あのニコニコしていた顔はなくて、狂気にも思える瞳。

触れずに相手を浮かばせる事なんてそう簡単に出来るものじゃない。
それを糸も簡単にやって、しかも念力で首を締めてるのか?

「ボキョッ」

何とも言えない音がして男の首はおかしな方向に変わった。
そして地面に落ちた。

「こ…殺したのか?」

ギロっと佳伊が見る。その目にまたぞっとする。

「こいつら天使はね、もう何十、何百と殺してるんだ。君の家族には悪い事をしてしまったな」

佳伊は一回目を閉じ、そしてまた目をあけるといつもの目つきに戻った。

「真君、うちにおいで」
そういうと悲しそうな顔になった。
「ごめんね。天使の事も言っておくべきだった」
そう言って頭をさげた。