シャワーを浴びながら真は佳伊の言葉を思い出していた。

「死ぬって……」
真が警戒すると佳伊は焦って言った。
「いや、本当にじゃないよ。戸籍上」

真には佳伊のいわんとすることがまったく分らない。

「つまり、戸籍上は死んだことになるんだ。世間の影で生きてもらいたいんだ」

「影?」
「そう。」にっこりと佳伊が微笑んだ。
だが言ってることはめちゃくちゃだ。

そこで母が戸をトントンと叩く。
「真ちゃん、長風呂よ〜」
「今出る」

シャワーを止め、脱衣所に出た。

食卓に行くと豪華な食事が並んでた。
施設の4人の子供も嬉しそうだ。
「何これ、誰の誕生日?」
不思議そうに言う真に母が言った。
「真ちゃんったらわたしが知らないとでも?」
と嬉しそうに言う。
佳伊との会話なのかとドキリとするがすぐにホッとする。
「学力テスト、校内で1番だったんでしょ?言ってくれないと〜」
「ああ……ごめん」

「いただきます!」
子供達は嬉しそうにほおばって食べている。真は唐揚げを一個食べてボーッとしている。
「あら、真ちゃんの大好きな唐揚げ、今日はまずいかしら?」
との母の言葉に
「そんなことないよ」
と慌てて食べ始めた。

食事を終えて自分の部屋に入って、どっかりとベッドに腰を降ろした。


「俺たちの組織に入らないか?政府公認だが世間には公になってない。いや、しちゃいけない組織なんだ。超常現象を管理している。全員超能力者だ。だから君ももっと楽に生きれると思うよ」
「全員超能力者って……そんなにいるのか?」
「いるいる、ごろごろと。でも皆隠してる。君みたいにね。ただ、それを悪事に使うのがいてね。それを管理するんだ。どうかな?」
「死ぬっていうのは?」
「過去があると色々と面倒でね。わかる?」
「まぁ…」
ようするに、身内に害がおよぶ可能性があるってことか。
「そうそう、その可能性がね、怖いんだよね。」
真はハッとする。
「人の考え読むなよ!」
「あ、ごめんごめん」
佳伊は笑った。